研究概要 |
本研究では喜界島の陸貝であるトコヨマイマイ,オオシママイマイ,タメトモマイマイを材料とし,隔離された島のなかでこれらの種が遂げた進化過程とそれにともなう遺伝的変化を解析した。特に島の各所から産出する更新世の化石試料に注目し現生集団との比較を通して進化の様式について明らかにした。そして遺伝様式と進化速度の関係、および環境変化が進化に及ぼす効果について考察した。まず更新世の化石集団と現生集団の殻の量的変異の解析の結果、これらの3つの種で共通の時間的変化のパターンが存在することが明らかとなった。すなわち、現生集団は化石集団より小型で、かつ扁平である。従って殻の形態は、島の違いよりも時代の違いによる差のほうが著しく、異なる系統で同じ形態への平行進化が生じていることが明らかとなった。現生集団の成貝殻の特徴は、化石集団の幼貝殻の特徴に一致しており、この平行進化が幼形進化のプロセスを反映していることが示唆された次に小笠原諸島の化石,現世陸貝群集(カタマイマイ属)を材料とし,その進化過程と遺伝的変化を解析した.現生集団のmtDNAの変異の分析によれば、それぞれ島の群集は独立にそれぞれの島で異なる時代に分化してきたことがわかった.またその放散は著しく急速で10万年程度の間に地上性,樹上性という分化が生じることがわかった.さらに化石記録の解析から,1万年前後の間に種分化が起こっていることが分かり,遺伝的な解析から明らかになった見解を支持する結果となった.
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