研究概要 |
架橋基としてアルコキソ酸素を持つシッフ塩基配位子に長鎖アルキル基を導入して、二核金属錯体を合成、キャラクタリゼーションを行った。メチレン鎖の数が7個までの長鎖アルキル基を導入したシッフ塩基配位子の二核ニッケル錯体は偏光顕微鏡による液晶性の観察の結果、概ね結晶性であり、〜250℃くらいで融解することがわかった。n=5,6の場合、液晶性の可能性が示唆された。 カルボン酸架橋型の二核金属錯体ではカルボン酸部位に長鎖アルキル基やベンゼン環を取り付けた錯体を合成し、これらをN,N'型二座架橋配位子で連結した新規一次元鎖状錯体を合成した。X線結晶解析の結果、安息香酸銅の系では細孔構造が吉草酸銅の系では鎖状構造が形成されていることが明らかになった。メチレン鎖の数が10個までの長鎖アルキル基を修飾した二核錯銅体について、熱分析、偏光顕微鏡、温度可変X線回折等の測定により液晶性の検討を行った。TGやDSCのデータは熱的転移が200℃以下で起こっていることを示唆している。偏光顕微鏡観察では概ね液晶性が示され、特に架橋配位子が長鎖アルキル基1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの系では低温側でヘキサゴナルカラムナー相、高温側でカラムナーネマチック相が形成されていると判断される。X線回折のデータもこれを支持している。
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