研究概要 |
ヒトの生活は、二足直立の状態を基本とした姿勢に適した骨格構造または形態であると考えられる。個々単独に骨を計測する場合、この直立姿勢を基準とした計測法は少ない。従ってこの研究では、直立姿勢とされる骨盤位およびその骨盤に大腿骨を連結させた状態を仮定し、生体機能的な骨盤位の検証および両膝の離れ具合に関係する形態計量項目などの検討が行われた。各計測は,、この生体機構的な計測項目15項目および骨盤自体の8項目および寛骨の8項目を加えた計31項目からなる。これらの項目のうち、19項目はMartin(1928)法に準拠し、12項目を新たに設定し、以下の成果について得た。 1. 立位姿勢の状態と仮定した骨盤位は、多くの個体で重心線の通る骨盤の岬角に対し側面から見た寛骨臼中央がその垂線下もしくは重心線上にあり、生体の状態と機能的に一致する。 2. 両膝の解離度は、大腿骨顆体角と高い負の相関を示した。この関連性は、大腿骨顆体角が小さければ両膝は広く離れ、その逆は接する傾向を示す。 3. 体格の大きさの指標とした大腿骨長と骨盤における横径および矢状径との間の強い関連性は、骨盤幅、骨盤入口横径、両大転子間幅および前頭面寛骨臼中央間距離などであった。骨盤入口横径との強い関連性は、主に仙骨上面の幅が関係していると思われる。 4. 骨盤入口横径を除いた小骨盤の寸法(骨盤入口矢状径・骨盤出口横径・骨盤出口矢状径)は、体格の大きさとは独立した関係にある。 以上の成果は、この研究の期間内に日本人男性14例について日を改めて2回計測した少数例によるものである。従って大標本による結果で、しかも女性標本の結果とも比較する必要がある。
|