研究概要 |
1. 低温,高磁界中表面磁気光学効果測定装置の製作 製作した装置の主な仕様は,(1)最大印加磁界:20kOe,(2)測定温度保持時間:10時間以上,(3)到達最低温度:12Kである.これを達成するために,マグネットのポールピースをクライオスタットの内部に挿入した形状に設計した.製作した低温,高磁界中表面磁気光学効果測定装置の動作検証を行い,以下の結果を得た. (1) Ni薄膜を用い磁気光学スペクトルを測定した.圧縮冷凍機動作時の機械的振動が測定に問題ないことを確認した. (2) 試料ホルダー上の温度を測定し,設定温度に対して1度以内の精度に10分以内で制御できた. (3) 光導入用の石英窓をマグネットヨークの外側に配置し,漏れ磁界によるバックグラウンドシフトの影響がほとんどないことを確認した. 2. Gd薄膜の作製と磁気光学スペクトル ガラス基板上に5×10^<-10>Torrの超高真空中電子ビーム蒸着法でGd薄膜(1000,250Å)を作製した.膜表面に酸化防止膜としてMgF_2を100Åコーティングした.この磁気光学スペクトルおよび磁化曲線を測定した.結果は以下の通りである. (1) カーヒステリシスの温度依存性を測定した.カー回転角および保磁力の温度依存性は磁気特性測定の結果と対応した. (2) 測定温度20〜350Kで磁気光学スペクトルを得た.伝導率スペクトルの非対角成分σ_<xy>"のスペクトルにおいて,バルクの報告と比較してシャープなピークが1.9eVのエネルギー位置に見られた.これはフェルミレベル付近から,分裂したdバンドへの遷移に対応する.膜厚250Åのスペクトルは,1000Åの場合と比較して構造的な変化は特に観測されなかった.
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