研究概要 |
(1)超音波探針顕微鏡の動作原理 厚み振動をする圧電体をSTM探針の根本に貼り付け,探針に超音波パルスを送り込み超音波パルスエコーを得る.音速精密測定法であるパルス重畳法では,送信パルス間隔を与える周波数シンセサイザーの繰り返し周波数を変調し,重畳したエコーの振幅を位相検波した出力をフィードバック信号として用いる,探針の先端が細くなることにより音速が減少し,音響インピーダンスが試料のそれよりも小さくなる.超音波振動の間に,探針が試料にまったく接触しない場合には,自由端での反射となり,超音波振動の全サイクルで接触する場合には,試料と,探針の音響インピーダンスに応じた反射波が得られ一定値となる.先端が接触し始めて,全サイクルで接触するにいたるまでの反射波を解析した結果,実験的に得られる位相検波出力の振る舞いを説明することができた. (2)剪断変形によるパルスエコー 超音波探針顕微鏡では,位相検波出力をフィードバックして像を得ているために,試料の凹凸と音響インピーダンスとを分離することができない,カンチレバ-を取り付け試料表面の凹凸像を分離することを試みる前に,剪断変形をする圧電体を取り付け,剪断変形による信号を取り出すことを試みたところ,剪断変形でパルスエコーを得ることができた.しかし,信号の大きさが約1桁縦波よりも小さく探針をコントロールするためには回路の改良が必要である. (3)AFMカンチレバ-を備えた探針によるパルスエコー 超音波探針顕微鏡に使う探針の先端にAFMカンチレバ-を取り付けAFMカンチレバ-により表面の凹凸をなぞりながら超音波信号を得る必要がある.AFMカンチレバ-の変位検出に光ファイバーを利用する方法に装置を作製したが,光ファイバーからの戻り光の干渉を検出し,フィードバックすることに成功していない.
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