研究概要 |
平成10年度は非対称剛性行列自励振動系の構成原理の解明と2足歩行運動機構への適用に関して,以下の成果を得た. 1. 平成9年度にシミュレーションにおいて実現した2自由度の遊脚と1自由度の支持脚による3自由度歩行モデルにたいして,脚の先端に曲率をもつ爪先を付加する拡張を行なった.これにより,足先衝突時のエネルギー損失を低減するとともに,爪先のないときに比べて移動速度を1.7倍程度の0.85m/sに向上させることができることを明らかにした. 2. 関節可動範囲制限をもつ2本の2自由度脚で構成され股関節にアクチュエータをもつ人間の脚部と同スケールの歩行実験機を製作した.既に支持脚を固定した状態で遊脚を自励振動させることに成功しており,今後歩行実験を行なう予定である. 3. 支持脚接地点でトルクが働かない歩行のもっとも簡単なモデルと同一である2自由度鉄棒モデルにおいて,その周期大車輪運動と固有モードの関係を明らかにした.さらに半周期運動であるブラキエーション運動の最適運動を求める手法を確立した.今後この解析法を用いて歩行運動における最適運動と固有モードおよび自励駆動との関係を明らかにする予定である. 4. 非対称剛性行列自励振動の利用法の一つとして,円筒状の胴体部を自励的にロール振動させ,水中の弾性フィンが流体をキックすることにより推進する水上推進機構を提案した.さらに自励振動発生条件を満たす実験装置を製作して実験を行ない,シミュレーション結果と比較検討して理論の妥当性を確認した.
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