研究概要 |
本研究の目的は,人間とのスキンシップを可能とする「触れ合いロボット」を実現することにあった。 その心理的な側面について研究をすすめるため,接触を介した闘病の支援という課題を対象に具体的な実験をすすめた。闘病支援を可能とするためには,患者と周囲の人とが協力しあうことが大切である。お互いに協力するためには,患者と周囲の人とのスムーズな情報伝達が重要であり,またそれだけではなく心理的なケアも必要である。しかしながら,現状では,コミュニケーションはかならずしもスムーズではなく,治療時などにさまざまな心理的負担が患者にかかってしまっている。 そこで,これらを解消するために,人に触るだけではなく,人の方からも触ることができるロボットを提案・製作した。接触は非言語コミュニケーションの一つとして極めて有用であり,また医学分野では患者に触れることが安心感や痛みの緩和に効果があることが知られている。このようなことから,触れ合いロボットにも,患者が痛みをスムーズに伝達できたり,接触行動の心理的メリットである安心感の演出や痛みの緩和を人に対してあたえることが期待された。 単なる棒,ロボットのように動く棒,動かないロボット,動く触れ合いロボットを比較した多数の心理実験において,被験者に対するアンケート結果をT検定で判定した結論として,触れ合いロボットは人の痛みをスムーズに伝達することが可能で,人に対して安心感をもたらし,痛みを緩和する顕著な効果がある,という知見がえられた。
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