研究概要 |
半導体超格子の分野では,フェルミ面上より上の高いエネルギーを持つホットエレクトロンを作り,積極的に利用するデバイスの研究などがなされている。そこで,本研究ではこのホットエレクトロンのスピンを磁性人工格子の巨大磁気抵抗(GMR)効果を利用してコントロールすることを提案し,全く新しいデバイスの開発に繋げようとするものである。 昨年はスピンバルブ膜で必要な反強磁性体をNiOの絶縁膜で作製し,これをトンネル障壁として用いることを検討した。その結果,界面の凹凸が磁気特性に大きく影響を与えること,また上部に積層した方がその影響を抑えられることが分かり,その結果を1998年6月にカナダで開催された金属人工格子のシンポジウムで発表した。本年は,n-Si基板上にAuをスパッタし,そのI-V特性を測定し,良好なショットキー障壁の再現性を試みた。さらに金属マスクを用いて膜を作製し,試料の電流・電圧特性よりマスク交換の最適化をはかった。その結果AuとGMR部,GMR部と絶縁層間ではマスクを交換したほうが良いことがわかった。そして3端子構造により,低温ではあるがホットエレクトロン電流のGMR素子による制御を試みた。
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