研究課題/領域番号 |
09875086
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 明 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (70199115)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 膜電位 / ニューラルネットワーク / 生体神経情報処理 / 非線形数値解析 / オプティカル・レコーディング / 微小電極 / 脳磁場 / イオンチャンネル |
研究概要 |
近年、実験生理学の分野ではオプティカル・レコーディングやアレイ化された微小電極をはじめとする、高空間分解能、高時間分解能で、また観測領域がある程度広い(したがって観測される細胞数や細胞膜の有効面積単位数が大きい、多チャンネルの)高度な計測技術が急速な進展を見せ、数々の興味深い事実が明らかにされつつある。たとえば、1つひとつの神経信号パルスの(回路間の)相互の同期や反同期の発見、能動的な樹状突起の発見とそこを逆行するパルスの存在、などである。これらの現象を解明するためには、微小電極による膜電位計測に代表される微視的な実験生理学研究と、「機能」のみに着目しがちで巨視的である人工的なニューラルネットワークの研究との橋渡しをするような分野、いわばメゾスコピックな(微視的と巨視的の中間の)ニューラルネットワーク研究分野を切り拓く必要がある。 本研究の目的は、申請者らが1996年に提案した2次元のHodgkin′-Huxley方程式を研究の中心的手段として、生体神経細胞膜の機能のメゾスコピックな解析および合成の基礎を築き、それによって上述のような新たなニューラルネットワーク研究の1分野を切り拓く契機を作ろうとすることにある。 本研究によって、神経細胞膜の生理物理的性質と情報処理機構との関係を記述する最も基本的な理論的枠組みを構築した。細胞膜を表現するための生理物理的な性質には、細胞の形状の他に、神経細胞膜の単位面積あたりの膜抵抗、膜容量、神経細胞膜の表面内部の物質の抵抗率、等価膜厚、各種イオンチャンネルの面密度、などの空間的に分布したパラメータが存在する。これらパラメータを観測点の(位置の)関数とし、2次元Hodgkin-Huxley方程式によってより精密に電位の振る舞いを記述する方法を確立した。また、単純な形を持ちある程度同じ傾向を有するような膜の各部分をグループ化して構造化し、各種細胞の機能の全体を見渡すことができる枠組みを構築した。 今後、生理実験との詳しい対照や電流の評価などの、次段階の研究を進めてゆきたいと考えている。
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