研究概要 |
皮膚に柔軟に適合する薄型触覚変換パッドを開発し,情報通信に使用することが可能であることを確かめるために,本研究では次の1〜3のことを行った. 1. 次の(1)〜(3)の多点式の触覚変換パッドを試作した. (1) 圧電素子:バイモルフ型の圧電素子を用いて触覚刺激のピンを上下させる構造の触覚刺激装置を製作した.触覚点数は2点である.人間の認識できる触覚点の間隔を計測する実験に用いるために,2点間の距離を変化できるようにした. (2) 空気圧式:空気圧源から供給された空気を皮膚に吹きつける構造の触覚変換パッドを製作した.触覚点数は10点である.柔軟なゴム製の基盤に管を埋め込み,管は小形電自弁を介して空気圧源に接続されるような構造とした. (3) 電気刺激式:ゴム製の板にアレイ状に電極を埋め込んだ柔軟な触覚変換パッドを製作した.触覚点数は16点である.各電極には一般に市販されている低周波治療器で使われているのと同程度の電気パルスを印可するような駆動回路を製作した. 2. 上記(1)〜(3)の各装置に接続してコントロールするための信号発生用コンピュータシステムとそのソフトウェアを開発した. 3. 空気圧式の柔軟な触覚刺激装置を用いて,1つの触覚変換パッド内の異なる触覚点に与える信号を人間が分別認識可能であるかどうかを確かめる実験を行った.その結果,分別認識可能であることを確認した. 今後の研究の展開として,本研究で開発した触覚変換パッドを用いて小規模触覚通信システムを構築し,それを用いた情報通信実験を行い,触覚を利用した情報通信の有効性を実証する.
|