研究概要 |
阪神大震災の例を挙げるまでもなく,地震後の混乱期において,多くの情報を如何に管理,使用し,最適とまではいかないにしても妥当な判断を下すかは,被害の程度を大きく決定する重要な問題である。大地震に際し,地震前に得られる情報に基づき,地震直後に刻々と得られる膨大で断片的かつ不正確な被害の情報を最大限利用し,素人の人が極限的に最悪な健康・精神状態の下で最適な判断を下すためには,計算機を利用し,システムを平常時に作成しておくことが考えられる。地震前に得られる情報は平常時に入力しておき,地震中・直後の情報を整理することなく次々に入力される必要がある。そして,平常時には地震被害想定のプログラムとして機能した同一のシステムが,地震中にはリアルタイム対応システムとなり,地震後には応急復旧,恒久復旧のためのシステムというように,一連として使用できることを目的としている。そして,地震後の緊急対応に際してのすべての判断を自動化することを考えた。 本年度は昨年度の研究に引き続き,大地震に際し,地震前に得られる情報である(1)平常時の状態を表す情報,(2)過去の地震被害に関する知見,(3)地震前に行った被害の想定結果,(4)自治体・事業体などによる防災計画・準備の状況に関する情報と,(5)地震直後に刻々と得られる膨大で断片的かつ不正確な被害の情報とのそれぞれに対して,情報の種類の分類し,知識データベースとしてフォーマット化を行った。一方,交通管理システム(交通実態の把握と交通規制),病院の患者の把握と患者の輸送問題,火災の発生状況の把握と消防車・人の配置,役所の各部局またはライフライン事業者の対応,ボランティアの人と仕事とのマッチングなど,各立場から推論規則の開発を行った。
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