研究課題/領域番号 |
09875167
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
幾原 雄一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70192474)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 高温その場観察 / 透過電子顕微鏡法 / ジルコニア / アルミナ / シリカ / 焼結過程 / 拡散 / 固溶 |
研究概要 |
セラミックス材料の焼結や粒成長などの高温における素過程については、未だ多くのことが明確になっていない。本研究では、高温TEMその場観察法と高分解能電子顕微鏡法を組み合わせて、セラミックスの高温現象の素過程を動的に明らかにすることを目的としている。まず、TEM-CCDカメラとビデオシステムをTEM本体に組み込み、高温加熱ステージの高温安定性および温度補正法について検討し、その場観察の最適条件を見出した。次に、粉末試料を高温で安定に保持するための支持体の材質・形状を検討した結果、Ta製穴あきディスクあるいはW製ワイヤーが優れていることが分かった。以上の実験条件の検討を基に、ジルコニアとアルミナ粉末の高温その場実験を実施した。その際、各試料の状態を室温から1600℃まで連続的に観察し、記録はビデオシステムを用いて行った。 ジルコニア、アルミナともに連続的に粒成長・合体していく様子が明瞭に観察された。ジルコニアでは表面の数原子層が集団で運動する過程が観察されたが、これは表面拡散に対応するものと考えられる。また、ジルコニアに微量のシリカを添加した系についての高温観察も行った。その結果、約1000℃でジルコニアとシリカは反応し、大部のシリカはジルコニア中に固溶して消失する現象が観察された。この試料を冷却すると約600℃でジルコニア粉末表面からシリカ膜の析出が観察された。従来ジルコニアとアルミナは固溶しない系とされてきたが、今回の結果はジルコニアの極表面部においてシリカは固溶可能であることを示唆している。この結果は、シリカ添加ジルコニアの粒界において数nmのSi偏析相が存在するという高分解能観察・EDS分析の結果と一致する。また、粒界のEELS測定とSiの固溶をモデルとした分子軌道法の計算結果の比較もSiがジルコニア中に固溶していることを示した。 以上のように、本手法によって、従来は不明であった幾つかのセラミックスの高温現象の素過程が明らかになった。今後、本手法をさらに種々の系に適用していくことによって、多くの不明確な高温現象が解明されることが期待される。
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