研究概要 |
超高真空の表面分析装置内における固体間凝着力計測システムに組み込みむ事を意識して,固体間の界面抵抗を計測する方法について計測システムを試作し,実験的に検討した.接触させた2固体の抵抗は固体特有の抵抗およびその界面特有の抵抗からなる.金属半導体界面では界面抵抗が支配的となる.具体的には,バンドギャップや格子定数などの物性値が良く知られており,表面状態の整えるための操作手法の確立しているシリコンウエハ(Si)および,表面酸化等の影響の少ないと考えられる銀(Ag)および銅(Cu)を試料としそれらの理想接合界面の抵抗率を計測した.銀および銅は先端極率の異なる2種類の試料を準備した.試作したシステムを用い,代表者らによるフォースカーブ理論(Kunio TAKAHASHI,Ryoji MIZUNO and Tadao ONZAWA,J.of Adhesion Sci.and Technol.,9,1451-1464(1995) および Kunio TAKAHASHI and Tadao ONZAWA,J.of Adhesion Sci.and Technol.,10,17-31(1996))から接触径を推定することにより,先端曲率に依存しない界面抵抗測定ができることを示した.金と銀では仕事関数がほとんど同じであるため,シリコンウエハとの界面抵抗はほとんど変わらなかった.但し,実験は大気中で行ったため,界面に酸素等の原子が挟み込まれている可能性が高く,理想界面における計測は,今後の検討すべき課題である.しかし,このシステムを上記,超高真空の表面分析装置内に入れることにより,任意の材料に対し,吸着元素のないことをオージェスペクトルで確認した表面同士を接合して作った理想界面に対し,界面抵抗の理想的な値を測れる可能性の極めて高いことを示唆できた.
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