研究課題/領域番号 |
09875195
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
触媒・化学プロセス
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
榊 茂好 熊本大学, 工学部, 教授 (20094013)
|
研究分担者 |
濱田 泰輔 熊本大学, 工学部, 助手 (10253717)
|
研究期間 (年度) |
1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 生体タンパク / 牛血清アルブミン / 亜鉛ポルフィリン / 光反応 / 電子移動反応 / 酵素モデル反応 |
研究概要 |
生体タンパクとして一般的なボビンセラムアルブミン(BSA)を選び、光増感剤としてカルボキシル基を持つ亜鉛ポルフィリン錯体を用いて光エメルギーの化学的変換反応の電子伝達体であるメチルビオローゲンの光還元反応を試みたところ、BSAが存在しない場合は反応が全く進行しないのに対して、BSAの存在下では効率良い反応の進行が認められた。また、カルボキシル基のない亜鉛ポルフィリン錯体では反応は全く進行しない。これはカルボキシル基の存在が水素結合で亜鉛ポルフィリン錯体をBSA内部に取り込ませていることを示している。メチルビオローゲルにカルボキシル基を導入した4,'4-ジカルボキシエチル-1,1-ビピリジン(dicebp)はpH7付近で溶液中脱プロトン化により中性となっている。この還元反応を試みたところ、この場合もBSAの存在下でのみ反応が進行したが、反応性はMV^+に比べると劣っていた。以上の通り、タンパク中では光誘起電子移動反応の効率化が可能であることが示された。 反応機構を速度論的に検討したところ、Michaelis-Menten機構で進行していることが示された。Michaelis-Mentonパラメーターから、酵素基質錯合体の形式も生成物生成過程もMV^+の方が優れていることが示された。この結果はBSAの負電荷を持つ表面へのビオローゲンの吸着により理解できる。 以上の通り、タンパクの利用により、光誘起電子移動反応の効率化が可能であり、今後の検討により一層効率良い光化学反応系の構築が可能であることを示すことが出来、これらの結果を錯体化学討論会などで公表すると共に、J.Chem.Soc.,Daltonに投稿中である。
|