研究課題/領域番号 |
09875228
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳 日馨 大阪大学, 工学部, 助教授 (80210821)
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研究分担者 |
南方 聖司 大阪大学, 工学部, 助手 (90273599)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ラジカルC1素子 / ホルムアルデヒド / オキシムエーテル / 一炭素増炭反応 / 一酸化炭素 / アシルラジカル / ラジカル反応 / アルキルヨ-ジド |
研究概要 |
ラジカルC1素子は一酸化炭素や等電子構造を有するイソニトリルの反応を通じ、その潜在力が最近とみに注目されている。C1原料の有効利用の観点から、本萌芽的研究では基幹工業原料でもあるホルムアルデヒドのラジカル反応における合成素子としての可能性を検討した。 まず、光照射下での反応を試みた。3-ヒドロキシ-1-ヨードプロパンと37%ホルムアルデヒド水溶液とをエタノール中に混ぜ、室温で可視光照射を行なったところ、主に生成したのはホルムアルデヒドのアセタールおよびその脱ヨウ化水素化合物であった。同様な光照射実験を3-ヨードデカンを用いて行なったが、期待した付加反応生成物の確認には至らなかった。 つづいて、AIBNを開始剤とし、トリブチルスズヒドリドをメディエーターとし、ドデシルブロミドとホルムアルデヒドとの反応を検討した。ベンゼン中で37%ホルムアデヒド水溶液をまぜ反応させたが、ラジカル還元体のみが生成した。反応系を均一にする目的で溶媒をt-ブタノールにかえ、同様な反応を試みたがやはり還元体のみを得るにとどまった。用いた条件では付加反応はスズヒドリドによる水素化に競争するのが困難と考えられる。 一方、炭素ラジカル種としてアシルラジカルを選び、反応を検討した。シクロヘキシルヨ-ジドを用い、一酸化炭素加圧下にホルムアルデヒドとのラジカル反応を検討した。この反応においては、用いた三炭素成分が結合した生成物を確認することができた。ビニル位をフェニルスルフォン基で置換したオキシムエーテルはホルムアルデヒドと構造的類似性を有することからこれとアシルラジカルの反応も併せて検討した。その結果、一炭素増炭した生成物が良好に生成することがわかった。以上、本萌芽的研究ではホルムアルデヒドのラジカル反応にたいする基礎的知見を得た。今後、反応機構の解明、反応条件の精密設計等により一炭素増炭法としての応用の突破口が切り開けるものと考えている。
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