研究概要 |
茎の伸長と花芽分化との関連を明らかにするため,レタス品種‘テルミー'を昼25,夜20℃と昼20,夜15℃に設定した自然光ガラス室内で栽培した。花芽分化初期は25/20℃区では播種後33日目,20/15℃区では39日目であった。茎の長さは25/20℃区,20/15℃区とも指数関数的に増加したが,茎の長さの相対生長速度は20/15℃区の方が小さかった。茎の乾物重と茎の長さの関係を両対数グラフにプロットしたところ,花芽分化前のプロットは直線にのったが,花芽分化後のプロットは直線から乖離した。茎の直径と茎の長さの関係,茎乾物重と葉乾物重の関係も両対数グラフにプロットすると,花芽分化時までは直線に当てはめることができた。20/15℃の自然光ガラス室で栽培した‘テルミー'にジベレリンを処理したところ,3日目から茎の急激な伸長が始まったが,対照区では茎長の増加はごくわずかであった。ジベレリン処理の有無に関わらず,実験終了時まで花芽分化は認められなかった。対照区とジベレリン処理について,茎の長さと茎の乾物重,茎の長さと茎の直径,茎の乾物重と葉の乾物重を両対数グラフにプロットしたところ,対照区のプロットは直線に当てはまった。しかし,ジベレリン処理区のプロットはこの直線から乖離した。以上,レタスの茎の長さは時間の経過とともに指数関数的に増加するが,花芽分化初期を境に,茎の長さと茎の乾物重,茎の長さと茎の直径,茎の乾物重と葉の乾物重の間のアロメトリー関係が変化し,茎乾物重に比べて茎長の増加,葉に比べて茎への乾物の分配の割合が大きくなることが明らかとなった。こうしたアロメトリー関係の変化は,ジベレリン処理をした場合にも見られたことから,茎の伸長パターンの変化を反映していると考えられた。
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