研究課題/領域番号 |
09876026
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村田 幸作 京都大学, 食料科学研究所, 教授 (90142299)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | スフィンゴモナス / 細菌細胞表層構造 / ABCトランスポーター / 高分子膜輸送 / 細胞表層工学 / 分子標的 / ピット / 体腔構造 / ATP分解酵素 / トランスポーター / スフィンゴモナス属細菌 / 体腔 / アルギン酸 / アルギン酸リアーゼ |
研究概要 |
土壌分離細菌SPhingomonas sp.A1は、高分子多糖アルギン酸を炭素源として利用する。 しかし、アルギン酸は菌体外に存在するが、本菌の低分子化酵素アルギン酸リアーゼは細胞質に局在している。 アルギン酸リアーゼ以外に、アルギン酸低分子化酵素は存在しない。従って、この多糖は高分子のまま細胞内に取り込まれ、細胞内で低分子化されると考えられた。そこで、細胞表層とその超薄切片について「取り込みの分子装置」を検索した結果、細胞表層に巨大な体腔の形成を認め、超薄切片には細胞膜が細胞質に陥入した明瞭な部位の存在を確認した。さらに、体腔には多糖が濃縮されて存在し、体腔は細胞外の高分子物質の存否に依存して開閉することを明らかにした。具体的には、高分子多糖存在下で培養した細菌細胞の表層をムコ多糖染色すると、体腔に相当する部位が強く染色される。酵母エキス生育菌では染色されない。体腔のない酵母エキス生育菌をアルギン酸培地に移すと体腔が形成される。体腔形成細胞を、酵母エキス培地に戻すと体腔は消失する。これらの事実から、体腔が高分子物質(多糖)の輸送装置であることを確認した。低分子物質の細胞内取り込み機構は、単純拡散やエネルギー駆動(モーター)ポンプ、或いは、ボーリンゲートなどを対象に広く研究されている。細胞内で合成された高分子物質の分泌機構の研究も、世界中で行われている。しかし、高分子物質の取り込み機構に関する研究は類例がなく、本研究によって、微生物における高分子取り込み機構の存在を始めて証明した。また、高分子取り込み変異株を利用して取り込みに関わる遺伝子を分離し、体腔形成の機構とその発現制御機構、並びに体腔形成の情報伝達機構を検討する基礎を確立した。
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