研究概要 |
本研究は、アミンを代表例としたキラル溶媒和法による有機化合物の光学純度および絶対配置の非経験的決定法の確立を目的とした。研究成果として、1.基質に対面する芳香族環を変えたビアリルカルボン酸、スルホン酸およびアミンを合成した。そのうち以下に示した軸性キラル化合物の光学活性体調製法も確立した。 1-(1'-Pyrenyl)-2-naphthoic cacid(PYNA,1),3,5-dichloro-2-(4',8'-dimethoxy-1'-naphthyl)-benzoic acid(2),3,5-dichloro-2-(8'-methoxy-1'-naphthyl)-6-methylbenzoic acid(3),3,5-dichloro-2-(4',6'-dimethyl-2'-methoxy-1'-phenyl)benzoic acid(4),1-(2'methoxy-l'-naphthyl)-2-naphthalenesulfonic acid(5),1-(2'-methoxy-1'-naphthyl)-2-naphthylamine2.上記の酸性ビアリル化合物とisopropylaminneの塩(1:1,0.02M in CDCl_3)についての^1H NMRの結果、isopropylamineのジェミナルメチルプロトンは既存の試薬(MNCB)ではδ0.39,0.43(Δδ=0.04)に現われるが、1ではδ-0.12,-0.17(Δδ=0.05)、2ではδ0.54,0.49(Δδ=0.05)、5ではδ0.91,0.90(Δδ=0.01)であり、これらの化合物はアミンの光学純度検定用試薬として利用可能である。3.化合物(aR)-2と(S)-secbutylamineの塩(1:2,inCDCl_3)についてのNOESYおよびNOEDS測定の結果、アミン部分の1-メチルおよび4-メチルプロトンからそれぞれ対面するナフタレン環の2'-および5'-プロトンに他のプロトンと比較して相対的に強いNOE相関が確認されたことから、提案していたα-メチンプロトンが対面する芳香族環側にある配座モデルが支持された。現在、官能基の両ortho位をジアリルとした化合物を調製し、試薬のさらなる最適化を進めている。
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