研究概要 |
メチル化タンパク質由来 内囚性N^GN^G-dimethylarginine(ADMA)N^G^NG-dimethylarginine(SDMA),N^G-monomethylarginine(MMA)の内、ADMA,MMAが一酸化窒素産生酵素(NOS)の阻害剤として働き、高血圧などの病態の要因となる可能性がある。内因性のみならず食餌タンパク質由来の,ADMAやMMA量について検討した。一方、ADMA,MMA分解酵素ジメチルアリギニナーゼ(DDAH)のcDNAをヒト腎臓よりクローニングした。 1{方法} タンパク質中のMMA,ADMA量は微量であり、その分析法を最初に確立した。ABMAとSDMAはアルギニンの少し前に両者が分離して溶出させる。MMAはイオン交換樹脂法ではアルギニンとの分離が不可能であり、アルギナーゼ前処理によるアルギニン分解を行って、残存MMAを測定するシステムを構築した。2{結果} 日本人の主要タンパク質摂取源について分析を行い、タンパク質1g当たり、牛肉ではADMA 340nmol,MMA180nmol,鶏肉ではADMA 160nmol,MMA700nmol程度含まれることを明らかにした。これを食餌タンパク質1g当たりの平均値と仮定すると、日本人の一日のタンパク質摂取量が約80gであるから、ADMAとMMAを合わせて約40μmol程度摂取していると推定される。3{考察}我々の過去の研究から体組織中のADMAとMMAのプールは約1nmol/gと推定され50kg体重の人の場合,50μmolのプールと食餌由来の40μmolを合計して約100μmolとなり、生体内濃度は約100μmol/50kg≒2μMと推定される。一般にNOSに対する阻害定数(Ki)は数μM-数十μMであり、十分影響を与える濃度に達し、従って、DDAHによるプール濃度の調節によるNO産生の制御が意義を持つと判断される。
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