研究課題/領域番号 |
09877038
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
米澤 傑 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10175002)
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研究分担者 |
松下 能文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90244227)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 膵癌 / 肝内胆管癌 / 胃癌 / 乳癌 / ムチン / メッセンジャーRNA / in situ hybridization / 癌患者の予後 |
研究概要 |
(1)膵・肝内胆管の膨脹性発育腫瘍でも、その経過のうちに浸潤性増殖を始める症例においては、浸潤性発育部位で、予後良好因子の分泌型ムチンであるMUC2(腸型ムチン)が消失し、予後不良因子の膜結合型ムチンであるMUC1(乳腺型ムチン)が発現するという現象を発見した。 (2)膵・肝内胆管腫瘍において、MUC2と同じく分泌型ムチンであるMUC5AC(胃表層型ムチン)の遺伝子発現をin situ hybridizationで検索した結果、MUC5ACmRNAの発現は、膨張性発育腫瘍では高率に陽性であったが、浸潤性発育腫瘍ではその陽性率は低かった。さらに、膵の膨張性発育腫瘍である粘液産生性膵管内乳頭腫瘍を組織亜型に分類し、MUC5ACとMUC2の遺伝子発現を検索した。形態的に腸の絨毛腺腫に似たVillous dark cell typeではMUC5ACのみでなくMUC2の発現もみられたが、胃の表層粘液細胞に似たPapillary clear cell typeと、好酸性の細胞が積み重なったCompact cell typeの大多数ではMUC5ACのみが陽性であった。これらの所見は、粘液産生性膵管内乳頭腫瘍の各亜型の組織発生を知る手がかりになると思われる。 (3)高齢者胃癌と若年者胃癌のムチン抗原発現を組織型別に比較したところ、MUC1ムチンのDF3の発現に有意差がみられた。高齢者胃癌の管状腺癌と低分化腺癌で、DF3の陽性率が若年者の管状腺癌と低分化腺癌より有意に高かった。患者の生存率は若年者・高齢者ともに、DF3陽性の胃癌においてDF3陰性のものより有意に低かった。若年者・高齢者ともに印環細胞癌ではDF3の発現が極めて低率で、MUC2ムチンとムチン型糖鎖抗原のシアリルTnが高率に陽性であった。 (3)乳癌において、浸潤性乳管癌では常にMUC2が陰性であるのに対し、リンパ節転移率が低く比較的予後が良い粘液癌ではMUC2が陽性であった。また、その発現はmRNAのレベルで制御されていることも明らかにした。
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