(1)HGF/SF刺激により、L10、SW837、WiDr、HT29ではcohort migrationを、LoVo、CoCM-1ではscatteringを呈した。この作用は10-50ng/mlにピークを持ち、抗HGF/SF抗体により阻害された。 (2)HGF/SFによるcohort migrationの際もTPAによるものと同様、電顕的には細胞上部で細胞接着を保ちながら、細胞下部での細胞間隙が増大して先導葉の伸展が可能となり、細胞集団としての移動が生じていた。 (3)E-cadherinの発現はTPAの場合と同様、光顕レベルでは移動細胞間で減少し、電顕レベルでは細胞上部の細胞接着部で認められた。 (4)HGF/SFの受容体であるc-met mRNAの発現はNorthern blotにて、cohort migrationを示す細胞株よりもscatteringを示す細胞株で高い傾向が認められた。 (5)scatteringを示すLoVoではcohort migrationを示すL10細胞よりもc-Metの発現が高く、E-cadherinの発現が低かった。しかし両者においてHGF/SFによるE-cadherin/catenin complex(ECC)発現の蛋白レベルでの変化は認められなかった。またTPAの場合と異なり、ECCのチロシンリン酸化の変化も認められなかったが、ECC中のalpha-catenin量はHGF/SF処理により減少しており、その程度はLoVoの方がL10よりも強かった。
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