研究概要 |
心肥大は、その形態によって遠心性心肥大と求心性心肥大に分かれるが、その分子機構は解明されていない。本研究の目的は、心肥大の分子機構、特に、遠心性・求心性心肥大の発症・進展に関与する新規の遺伝子を、最近開発されたFestriction Landmark cDNA Scanning法(RLCS法)を応用し、クローニングすることである。遠心性心肥大のモデルとしてラットを用いて大腿部にて動静脈痿による容量負荷モデル(VO)を作製し、また、求心性心肥大のモデルとして大動脈縮窄による圧負荷モデル(PO)を作製した。モデル作製後3日目に心臓を取り出し心室よりmRNAを抽出しcDNA化した。新しいsubtraction cloning法で発現しているnRNAを2次元に展開し、スポットの差を正常、容量負荷モデル。圧負荷モデルの3者で検討した。その結果、VO、あるいはPOのみで増加しているスポットは認められなかった。しかし、VOあるいはPOモデルのどちらかで増加しているスポット或いは減少しているスポットは約10個のすぽっとを認めた。それらをすべてクローニングした結果一つのスポットより平均2-3個のクローンがクローニングされたために最終的に33個のクローンがクローニングされた。この中で既知の分子で心肥大時に発現が変化することが知られていたのは3個存在しそれらはβmyosin heavy chain,tropomyosin,SERCA2がクローニングされてきた。POモデルで低下するクローンの中にヒトの血管内皮細胞にインターロイキン1やTNFで誘導されるC-193というクローンと極めて相同性の高いクローンが存在し、そのクローンの体内分布は興味深いことに心臓特異的に発現していた。そこで個のクローンをクローニングしたが、C-193が最近ラットcardiac adriamycin-responsive protein(CARP)のヒト型であることが報告され、我々のクローニングした分子もCARPと同一であることが確認された。
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