研究概要 |
冠微小血管内皮細胞においてVEGFの刺激により発現調節されるmRNAの同定 (1)冠微小血管内皮細胞(CMEC)の単離・培養:雄ウィスター・ラットの心臓より西田らの方法に準じたCMECの純培養系を樹立した。Acetylated LDLの取り込みによりCMECであることが確認された。 (2)VECFによる発現刺激:コンフルエントとなったCMEC(第2継代)にVEGFを添加、6および24時間後にGTC法により細胞からRNAを抽出、以下の実験に供した。 (3)differential display法によるmRNA発現量の比較:differential display法では、4種のオリゴ(dT)プライマー(T12VG,T12VA,T12VT,T12VC(VにG,A,Cの各塩基を組み込んだ混合プライマー)を用い、RNA逆転写反応およびそれに引き続くPCRを行った。PCR産物を6%ポリアクリルアミドゲルに展開・乾燥後、オートラジオグラフィーを行い、PCR産物での発現量の差異を比較した。(2)で得られたVEGF添加・非添加群間の比較において、発現量の異なるバンドが6種得られた。 (4)特定遺伝子の同定・クローニング (3)で発現に変化の見られたバンドを切り出し、核酸を熱処理による抽出を行った。再度、同じプライマーの組合せでPCRを行い、産物をTAベクターにサブクローニングした。これらのクローンの塩基配列を一部決定し、これをプローブとしてノザンブロットを行ったところ、1種のクローンにおいてRNAの発現の差異が確認された。現在、その1種のクローンの全遺伝子構造の解析を進めているが、確認された部位は既存の遺伝子と異なるため、全く未知の遺伝子である可能性がある。
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