研究概要 |
ヒト角層と正常人血清と37℃、60分反応させた後、血清成分を洗い流し、1×10^6/mlにsuspendしたヒト好中球と一緒に37℃で24時間培養して得られた培養上清の中に含まれる単球走化活性をmodified Boyden chamberを用いて測定した。その結果、培養上清の中に単球走化活性があることが示された。さらに、divided chamberで好中球と角層の接触させないと単球走化活性が誘導されないこと、また、抗CR3抗体で単球走化活性が抑制されたことから、好中球はCR3を介して、iC3bでオプソニン化された角層に接着し、そのシグナルを通して活性化され、単球走化活性因子を放出することが分かった。これまで、LPS刺激した好中球はchmokine familyであるMIP-1αやMIP-1β,MCP-1などの単球走化因子を放出することが分かっている。上記実験で得られた培養上清中にこれらの単球走化因子が含まれるかどうかELISA法を用いて検討した。その結果、培養上清中にMIP-1α,MIP-1β,MCP-1のいずれもが含まれていたが、好中球と角層の接触がおこる状態で、単球走化因子の産生量は変化しなかった。さらに、培養上清をこれらの因子の阻止抗体で処理しても、単球走化活性の抑制は軽度であった。MIP-1αやMIP-1β,MCP-1とは異なる単球走化因子が含まれていると考え、培養上清をHPLC(ゲル漉過)で各フラクションに分けて、それぞれの単球走化活性を測定したところ、40kD前後の分子量を持つ単球走化因子が検出された。しかし、どのような物質であるかどうかは同定できなかった。
|