研究課題/領域番号 |
09877192
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 内皮細胞 / 虚血 / ずり応力 / 酸化ストレス / 血管作動性物質 / 血管新生 / VEGF |
研究概要 |
本研究は、新しい血管虚血負荷装置の開発と、それを用いた内皮細胞での虚血応答遺伝子発現プログラムを明らかにし、その知見を虚血血管再生遺伝子治療に応用することをその目的とする。昨年度は、内皮細胞において虚血刺激によりその遺伝子発現が誘導されることが知られている血管新生因子VEGF(VascularEndothelial Growth Factor)に注目し、その遺伝子発現のシグナル機構を低酸素チャンバーを用い検討した。その結果、虚血シグナルを考える上で、酸化LDLやLysoPCのシグナル伝達に関与する経路の重要性を明らかにした。本年度は、虚血刺激のもう一つの重要なコンポーネントであるずり応力(shear stress)の低下について、平行平板型ずり応力負荷装置を用い検討した。ずり応力の増加により、血管拡張ペプチドであるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)及びアドレノメジュリン(AM)の発現が亢進し、一方血管収縮ペプチドであるエンドセリン(ET)及びその産生に関与するエンドセリン変換酵素(ECE)の発現は低下した。これらのずり応力の内皮由来血管作動性ペプチド発現制御は、酸化ストレスそのものであるH202によりmimicされた。更に、ずり応力を低下させることにより、ET、ECE発現が上昇することも明らかにした。従って、虚血シグナルを考える上で、血流の減少によるずり応力の低下に伴う酸化ストレスの変化が重要であることが明かとなった。更に、ずり応力の低下によりその発現の低下するCNPのアデノウィルスを用いた血管への遺伝子導入により、血管平滑筋細胞の増殖抑制・分化誘導及び内皮細胞の再生の促進が起こることが明かとなり、CNPの虚血血管再生遺伝子治療への応用の有用性が示唆された。
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