研究概要 |
ラットでの肺移植後閉塞性細気管支炎(OB)発生モデルの作製を目的として、BN(RT1^n)→LEW(RT1^1)の大網内気管移植後2,3日目にCyA25mg/kg,4〜28日目までCyA 5mg/日,筋注投与した。IL-2投与群は、術後2、3週目にrIL-2を9万単位/日、5日間を2クール腹腔内投与。【結果】CyA単独群で、術後8週目(CyA中止4週後)に、気管膜様部肥厚による気管内腔の部分閉塞を認めた。IL-2投与群で、術後4週目に高度の気管周囲単核球浸潤、術後6週目に気管粘膜下の偏在性肥厚による内腔部分閉塞、術後8週目(CyA中止4週後)に完全閉塞を認めた。(これらの病理学的変化をスコアー化し、2群での経時的変化を明らかにした。)更に、BN→BN移植群も作製し、この病理学的変化が拒絶反応に起因するものであること、IL-2投与自体による変化ではないことを証明した。【展望】本研究に於いて、ラット移植モデルにおいてサイクロスポリン投与により生着した系にrIL-2を投与することによりOBの発生を惹起することが可能であることが示唆された。更に、ラット同所性肺移植において、rIL-2の投与によるOB発生モデルの確立と、そのモデルを使った気道閉塞病変の発生機序の解明(集簇リンパ球の免疫染色及び、サイトカインの発現の検討)を行う価値があると考えられる。
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