研究概要 |
今年度は、尿路感染症患者由来の細菌尿及び標準菌株であるE.coli NIHJ,P.aeruginosa18S,S.aureus 209Pを用い、菌数の調整をしながら酸素電極法により細菌の抗菌薬の感受性を測定し、従来法であるWalk away法と比較した。 【対象と方法】1)尿路感染症患者由来の細菌尿を対象として、dip slide法で10^6cfu/ml以上の菌数が確認された尿を検体として用いた。検体の処理及び使用抗菌薬は前年度に準じて行った。2)標準菌株を用い、菌数を10^4〜10^6cfu/mlまで3段階に調整してPIPC,CMZ,,AMKの3抗菌薬の感受性を酸素電極法により測定した。 【結果及び考察】細菌尿を用いた場合、酸素電極による感受性測定までの時間は、前処理にかかる時間を含めて検体採取後2〜5時間であった。当初は単独菌感染では、感受性は従来法と良く一致する結果が得られ、一致率の良くない場合は、菌種の違いによる影響が大きいと考えられたが、検体数を増やすに従って、従来法との感受性の一致率は抗菌薬の種類によって異なることが明らかとなった。すなわち、AMK,OFLXなどでは一致率が高かったが、PIPC,CMZなどのβ-ラクタム薬では酸素電極法では殆どが耐性となった。以上より標準菌株を対象として菌数を10^4〜10^6cfu/mlまで調整して感受性を測定したところ、菌数によって感受性が大きく異なり、10^4cfu/ml程度の菌数がより従来法に近い結果が得られることが明らかになった。今後臨床検体を用いる場合も10^6cfu/mlの菌数だけでの測定では正確な結果は得られないため、3段階程度に菌数を調整して酸素電極法による感受性測定を行うことが必要と考えられた。
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