研究課題/領域番号 |
09877340
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児外科
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩田 啓之 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 助手 (30273197)
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研究分担者 |
石黒 士雄 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80142173)
浜口 道成 名古屋大学, 医学部, 教授 (90135351)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 神経芽腫 / TRK / GMl |
研究概要 |
萌芽研究の始まりとして、まず神経芽腫にけるGMlとTrkの相互作用の検討から研究を開始した。 その結果、多くの神経芽腫培養株では、コントロールのPC12細胞に比し、GMlが多く含まれていることがTLC胞で確認できた。しかし、Trkと結合していると思われるGMlは、Western Blotting法で検討した結果、神経芽腫では極小量であることが判明した。このアッセイ法の感度レベルの生物学的意味を検討するため、切除組織中のTrkとGMlの発現レベルを測定すると、正常副腎、良性腫瘍であるGangloneuromaでは、Trkが検出下限であるにも係わらず、GMlのバンドが検出された。また、ラットの小脳、大脳にも検出され、神経が正常に分化している組織においては、おそらく、発現しているTrkのほとんどにGMlが結合していることが示唆された。そこで、臨床摘出神経芽腫組織を用いてTrk発現高値をしめす症例について検討した結果、臨床進行度分類Stage III進行例でGMlバンドがほとんど検出不可能な低値を示すのに対し、Stage I,II,IVsでは、検出可能であった。発現バンド強度を相対値として定量し、Trk発現量あたりとしてPC12細胞を100として比較したところ、Stage III症例では極端に低値であった。これら結果から、TrkがGMlと結合する頻度が夜毎腫瘍の悪性化に関与していると思われ、TrkのNGFに対する感受性がGMl結合頻度低下に伴って減少し、生理学的濃度のNGFで分化不能となって腫瘍存続していることが示唆された。PC12細胞がGM1の転化に伴い分化することから、高Trk発現神経芽腫が分化せず、腫瘍として存続する一因である可能性が明らかとなった。(平成9年度日本癌学会、日本生化学会、日本小児癌学会総会において報告した。)
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