研究概要 |
(1)Wistar rat顎下リンパ節は,片側各4個認められ,大きさや形態が異なっている.前回までは,神経染色および抗NEP抗体による免疫染色で門部に分布する神経束を報告した.今回4個のリンパ節の内,最も大きいリンパ節を用いてリンパ節内神経を電顕的に観察した. a.リンパ節門部,被膜部の神経 門部において脈管系と同じ結合組織中に神経束が見られた.中枢側からの神経束で最大のものは,それぞれperineural sheathに囲まれた2つの束が隣接して走行していた.それらの束は各々6本の有髄線維と1〜6本の無髄線維を含むシュワン細胞の単位が3個から成り立っていた.やがて分離して2つの神経束として走行した.異なる切片において観察される神経束での最多の有髄線維は6本がであったことから,このリンパ節に至る最大の神経束と考えられた.その他には有髄線維を4本,3本,2本,1本と無髄線維を含む神経束がはっきりとしたperineural sheathを持って認められた.大経のリンパ管周囲に近接した神経終末がラット腸間膜リンパ節で報告されているが,現在検索中である. b.髄質部,皮質部の神経 髄索に分布する小動脈周囲に,無髄線維だけからなる神経束が認められた.血管壁との関係は,間に細網細胞の突起が見られ,近接したものはまだ見つかっていない.無髄線維のみの神経束はperineural sheathを欠き,基底膜様構造で包まれていた.これらは終末構造に至る部分と思われるが,有芯あるいは無芯小胞の識別可能な神経終末とはまだ言い切れない.もう少し追跡して観察したい.
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