研究概要 |
前年度に引き続きCT画像を用いた骨壁厚さ精密測定法として考案したDual Mode LSF解析法に関する1.測定精度評価に関する研究、2.臨床利用プロトコール開発のための研究を本年度研究計画に沿って進めた。 1の精密測定精度の限界におよぼす影響の検討では、アルミスロープファントムを用いて測定精度の評価を行い、1mm以上の厚さを有する資料に対して0.1mm以内の測定精度であることを見出し、CAR'98(Computer Assisted Radiology and Surgery第12回国際シンポジウム,H10.6.24-27;Tokyo)にて報告し、論文An analytical method for precise measurements of cortical bone thickness using CT image-Dual mode LSFanalysis and its precision-がComputer Assisted Radiology and Surgery,ELSEVIER,63-67,1998に掲載された。精密測定限界厚さにおよぼす影響因子として、CT画像画素サイズに直接影響するFOVと、LSF測定再現性精度の2つの因子に注目した検討を行った。その結果、FOVの変化による精密測定限界厚さの影響は、当初予測された結果と異なり、影響因子とならないことを示し、第39回日本歯科放射線学会総会(H10.9.29-10.1;軽井沢)にて報告した。 2の一連の解析過程の効率化を図るプロトコールの開発については、本年度予算にて導入したSHARPMN-370-X20および、開発言語Visual Basicを用い、現在も進行中である。これまでのところ、CT画像の表示と関心領域におけるCT値データ配列の抽出が行えるまでになっており、これに対する、LSFの計算処理、convolutionによる画像歪み量の算出とノーマルモード、高分解能モード間の相関データ算出の自動化のプログラムを作成中である。 また、これまでの研究過程に置いて、cortical mass thicknessが、画像プロファイル積分面積に等価であることをコンピュータシミュレーションを用いて証明することに成功し、第77回日本医学放射線物理学会大会(H11.4.5-6;東京)にて報告の予定である。この結果と本科研費の骨壁厚さ測定法を併用することにより箔層皮質骨の骨物理密度測定の可能性が示唆されたことから、皮質骨物理密度測定法の開発へと応用範囲を広めて行くことを考えている。
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