研究概要 |
顎関節症患者における睡眠時の咀嚼筋活動を評価するために,ホルター筋電計を用いて咬筋の睡眠時筋電図を記録した.鹿児島大学歯学部付属病院第二口腔外科を受診した顎関節症患者の中から任意に選択した患者15名(男性1名,女性14名)対して,当科顎関節症用プロトコールを用いて問診を行い咀嚼筋症状の自他覚的評価を行った後,患者の同意を得て,ホルター筋電計(メガエレクトロニクス社 ME3000-P)を自宅に持ち帰ってもらい,睡眠時の筋電図を記録した.対照群として,顎関節および咀嚼筋に症状を有さない女性3名についても同じく記録した.データは,サンプリング周波数1000Hzで0.1秒毎の波形を平均化した形で記録した.筋電計に保存されたデータは,光ケーブルでパーソナルコンピューター(富士通製FMV)に転送し,専用解析ソフトで波形分析を行った. 記録のはじめに最大噛みしめ運動を4回行い,その平均値を各患者の最大噛みしめ時の筋活動の大きさとした.最大噛みしめ時の筋活動の10%以上の筋活動時間が睡眠時間全体の何%にみられたかを分析したところ,患者群では平均2.45%,対照群では平均0.90%であった.サンプル数も少なく,統計的有意差はみられなかったが,患者群のほうが筋活動が亢進している傾向があった. 今後はさらにサンプル数を増やし,単位時間あたりの筋活動回数,筋活動時間を患者群,対照群で比較するとともに,症状との関連や治療前後での変化などについてし検討していく予定である.
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