研究概要 |
マチン科ゲルセミウム属植物 Gelsemium elegans,G.semperviresの葉・茎部についてカルス誘導・培養・含有成分の分析を行った。TLC,HPLCを用いて原植物とカルスにおける含有アルカロイドを比較するために、まずG.sempervirens原植物(葉・茎部161.9g)について含有アルカロイドの分離を行った。メタノール抽出後、アルカロイド処理を行い粗塩基0.37gを得た。このうち0.3gを分離・精製し、Gelsemine24.6mg.Sempervirine2.4mgを単離し、NMRUVよりその構造を確認した。 (1) Gelsemium sempervirensについて:MS並びにB5固型培地にオーキシン[2,4-Dichlorophenoxyacetic acid(2,4-D)or 1-Naphthylacetic acid(NAA)]、サイトカイニン[Kinetin(K)]を様々な濃度の組み合わせで添加した培地上、25℃、遮光下にて葉・茎部よりカルス誘導を試みた結果、安定で生長性良好な未分化細胞株を得ることに成功した。得られたカルスは、約1か月ごとに継代培養を行った。続いて、2,4-D-KあるいはNAA-Kを添加したMS・B5固型培地上培養を行った4種のG.sempervirensカルスについて、メタノール抽出、アルカロイド処理により粗塩基を得、TLC、HPLCを用いて含有成分の分析を試みた。4種とも原植物に含有されているGelsemine、Sempervirineの存在は確認できなかったものの、B5培地にて培養した2種のカルスにおいては、オキシインドールに似たUV吸収を有したピークが認められ、現在、分離を検討中である。アルカロイド生産酵素系の発現しないカルス株については、アグロバクテリウム感染による毛状根の形成、器官分化の促進、或いは、トリプタミン、セコロガニン添加培地での培養などを行うべく準備中である。 (2) Gelsemium elegansについて:カルス誘導に成功した2,4-D,Kinetin添加B5固型培地上、23℃、遮光下にて継代培養を行った。培地中のチアミン濃度を減らしてもあまり変化は見られなかった。
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