研究課題/領域番号 |
09877442
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医薬分子機能学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮崎 勝巳 北海道大学, 医学部附属病院, 教授 (30166144)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 消化管吸収 / Caco-2 / 膜表面電位 / 膜透過 / 静電的相互作用 / 膜電位 |
研究概要 |
薬物の膜透過に及ぼす細胞内負の膜電位の影響を明らかにする目的で、細胞外メディウム中のイオン強度を変えずに静止電位を支配しているカリウムイオンの濃度を変えることにより膜電位を変化させ、イオン型薬物のCaco-2細胞(ヒト大腸癌細胞由来)透過への影響を検討した。メディウム中のカリウムイオンの増大により内部負の膜電位は減少し、これに伴いカチオン型薬物の経細胞透過におけるみかけのラグタイムは遅延した。我々はすでに小腸刷子縁膜小胞を用いた検討から、小胞内負の膜電位はカチオン型薬物の膜透過における駆動力であることを報告しており、この結果と併せて細胞内負の膜電位はカチオン型薬物の経細胞透過に強く関与していることが示唆された。また、パッチクランプ法による直接的な細胞の膜電位測定より、脂溶性の高いカチオン型薬物であるイミプラミンはCaco-2細胞内に取り込みまれることにより、膜電位を減少させることが明らかとなった。一方、アニオン型薬物では何ら変化は認められなかった。 昨年度および本年度の結果より、カチオン型薬物は自己の膜吸着による膜表面電位の減少と、それに続く細胞内負の膜電位の減少により経細胞透過が減少することが示唆された。またアニオン型薬物の経細胞透過は膜表面電位の影響を受けるものの、膜電位は関与しないことが明らかとなった。したがって、アニオン型薬物に比べカチオン型薬物の消化管吸収性が低い原因として、薬物分子と細胞膜間の静電的相互作用の電荷による差異が大きく関与していることが強く示唆された。 本実験結果は関係学会(日本薬学会、日本薬物動態学会)において発表し、現在学術雑誌に投稿する予定である。
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