目的:臨床の現場で用いられいるて平易な医学用語と常識と考えられている数字について、医師と患者間に認識の相違があることを明らかにする。 方法:言葉として「下痢」「便秘」、数字として「体温」「血圧」を取り上げ、「下痢」「便秘」について、便の性状、排便回数、便の量などの項目に分類して質問、「体温」「血圧」については、「あなたの平熱は何度ですか。」「正常の血圧はいくつですか。」といった質問に、数字で答えてもらう形式とし、予めトレーニングした調査員による対面調査を行った。 結果:自治医科大学付属病院の受診者879人(男性307人、女性572人)から、回答が得られた。 ・「便秘」については、性・年齢によりその内容が異なり、たとえば、若い女性では「お腹が張る」ということを便秘と考えている人が多かったのに対して、高齢になると、「排便回数が少ない」「○○日以上便がでない」ことを便秘と考えている人が多かった。 ・「下痢」については、「いつもより柔らかい便が出ること」を下痢と考えている例が多かった。 ・「体温」「血圧」については、60〜70%の人が、自分の値が答えられた。体温において、35.5度以下と答えている例も見られた。 以上、結果の一部を示したが、日頃用いられている平易な言葉や、当たり前と考えられている数字について、実際、医師と患者の間に、異なった認識があるということが明らかになり、問診法やコミュニケーションスキルを教育する上で注意すべき点が示唆された。
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