研究概要 |
スクリーニングのためのアッセイ系として求められるものは簡便・迅速・高感度のアッセイ系である。このため初年度はマイクロプレートリーダーを用いたβ-カロテン・リノール酸によるHigh-Throughput Screening(HTS)を構築し、乳カゼインの酵素消化物中の抗酸化ペプチドの探索を行いI-N-N,I-K-H-Q,A-R-H-P-H-P,F-Q-S-Qのペプチドを単離した。 本年度は大豆の酵素消化物中の抗酸化ペプチドとしてH-M.Chenらがチオシアン鉄法で見いだした抗酸化ペプチドL-L-P-H-Hをリードとした各種ペプチドライブラリーを用いて活性を比較したところ活性の有無については相関があったが、活性の強さについては一致しなかった。チオシアン鉄法ではアミノ酸配列と活性の強さには相関がなかった。しかし、本HTSではP-H-H,H-H-Pのアミノ酸配列を含むペプチドに強い抗酸化活性を見いだした。 そこで、抗酸化活性の最小単位はトリペプチドとしてCys残基を除く19種のアミノ酸残基の組み合わせによる6859種のトリペプチドをコンビナトリアルケミストリーの手法を用い固相合成を行いHTSを行った。その結果N-末端がArg,Leu,Proそして第二残基がHis,Trpのいずれかの場合顕著な抗酸化活性が認められた。二次ライブラリーとしてフリーの108種のトリペプチドを合成し、HTSを行いLHW,LWW,PHY,PWW,RHW,RHYおよびRWWが強い抗酸化能を示した。 本測定法は抗酸化物質の探索に使用する試料が微量であり、反応機構はすでに確立されており、安定な条件が設定しやすいこと、一度に96の試料が処理できること、測定時間は試薬調整を含め1時間と迅速である点でスクリーニングに有用な方法である。
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