研究概要 |
1. 障害者スポーツ経営におけるスポーツボランティアの組織化について次の三つのパターンが析出された。 (1) 地域で活動する組織型のスポーツクラブや小規模なスポーツクラブ(チーム型クラブ)の一部には,そのままボランティア活動の単位として機能するものがみられた。この場合,スポーツクラブ=ボランティア組織として理解することが可能である。北・西ヨーロッパにおいて多くみられるこのタイプが,わが国でもさらに発展・増加することが予想される。 (2) 構成員のためのスポーツの場や機会を整えると同時に,障害者に対してスポーツサービスを提供する機能を有する「スポーツ協働体」が散見された。スポーツサービスの「供給」と「享受」をともに行うこうした組織は,従来の障害者スポーツ組織とは異なる新しいタイプの形態であり,障害者スポーツサービスの提供と障害者の支援というボランティア組織の性格を有している。 (3) 障害者スポーツイベントの開催に際して,広くボランティアを募集し,イベントの実行組織の中に組み込む形で組織化されているものがみられた。すでに数年に亘って開催されているイベントの組織の中には,ボランティアの組織化に関して相当程度のノウハウを蓄積しているものがあった。 (4) 活動が実態化しているわけではないが,国民体育大会を契機にボランティアが組織化され,これが障害者スポーツ経営に関しても有効に機能する可能性が示された。 2. ボランティアを活用した障害者スポーツ経営システムの構築に当たって,以上のタイプの組織を地域の課題環境条件に応じて活用すること,システム自体に障害のある人とない人のインテグレートが重要であることが示唆された。
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