研究課題/領域番号 |
09878022
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 講師 (60199966)
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研究分担者 |
伊藤 朗 筑波大学, 体育科学系, 教授 (80056639)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 運動トレーニング / ストレス / 熱ショックタンパク質70 / Taqman PCR法 / mRNA / ウエスタンブロッティング / ストレス耐性 / マウス / 激運動 / ストレスタンパク質 / 熱ショックタンパク質 / ストレス交叉性 |
研究概要 |
本年度は、運動トレーニングが生体のストレス耐性を高めるか否かについて、ストレスタンパク質の発現から検討することを試みた。ICR雄マウスに1日約60分間のトレッドミル走を4週間行わせた。4週間後に運動トレーニングマウスとコントロールマウスに以下の4種類のストレス負荷を行い、肝臓サンプルを採取した。(1)熱ストレス:42℃の環境下に1時間拘束する。(2)酸化ストレス:SODの阻害剤であるDDTCを腹腔内投与する。(3)エタノールストレス:エタノールを経口投与する。(4)運動ストレス:疲労困憊に至るまでトレッドミル走を行わせる。肝臓中のHSP70のmRNAは、肝臓ホモジェネイトよりmRNAを精製し、これを基にcDNAを合成し、Taqman PCR法によりDNA量を定量化することにより測定した。また、HSP70のタンパク量はウェスタンブロッティング法により測定した。各種のストレスを負荷した時のHSP70のmRNAの発現量は、運動トレーニング群では安静値と変わらなかったが、コントロール群では熱ストレスと運動ストレスで著しい増加を示した。HSP70のタンパク質量では運動トレーニング群が安静値からコントロール群のストレス負荷時より高い値を示し、ストレス負荷時のHSP70のタンパク質量も全体的に高い傾向を示した。これらの結果より、運動トレーニングは生体に対し持続的なHSP70合成を引き起こし、非ストレス下の状態でHSP70が高い状況が作り出されていることが示唆された。HSP70は生体のストレス耐性の獲得に必要であることから、非ストレス下で高いHSP70がもたらされたことはストレス耐性の面からは有利に働くことであり、この点で運動トレーニングはストレス耐性の獲得に貢献する可能性が示唆された。しかし、残念ながら最終的目標である、運動トレーニングマウスと非運動トレーニングマウス由来の単離培養肝細胞を用いて、熱ショックタンパク質(HSP70)発現について比較検討するという研究の最終課題については実施できておらず、この点に関しては今後継続して検討する予定である。
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