研究概要 |
1,[methyl-3H]Thymidine([^3H]-TdR)を培地に加え、DNAに^3Hを取込ませると、前骨髄性白血病細胞株HL-60やT細胞由来Molt-4においては、1〜2日後に10〜30%の^3HをDNA内に取込み、DNAラダーを伴う細胞死が認められた。また、T細胞由来Jurkatにおいては、^3HのDNAへの取り込みが2%以下と非常に少なかったが、4日目にはDNAラダーが観察された。これに対して、B細胞由来RajiやSKW6-CL4では、細胞死は認められたもののDNAラダーは観察されなかった。 2,HL-60やMolt-4のアポトーシスでは、Caspase-3の活性化及びCaspase-3前駆体の切断が見られ、Caspase-3の基質と言われているDNA依存性プロテインキナーゼ及びポリ(ADPリポ-ス)ポリメラーゼの切断もあわせて認められた。また、Bcl-2及びBadのタンパクレベルに変化は見られず、Baxは減少した。 3,Molt-4においては、DNAラダーはCaspase-3の阻害剤によって抑制されたが、Caspase-1の阻害剤によっては抑制されなかった。 4,HL-60の変異株HP50-2、HP100-1は過酸化水素抵抗性の細胞株で、それぞれ3倍、18倍のカタラーゼ活性を発現している。これらの細胞に[^3H]-TdRを取り込ませると、いずれも同程度に核内のDNAに^3Hを取込むが、カタラーゼ活性の高い細胞株ほど生存率が高く、HP100-1ではDNAラダーの出現の遅れが観察された。 5,蛍光プローブを用い、[^3H]-TdRの取込みによる細胞内のヒドロペルオキドの生成を蛍光顕微鏡によって観察した。この結果、HL-60やHP50-2ではHP100-1に比べ、強い蛍光を発する縮小した細胞がより多く見られた。
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