研究概要 |
本研究では,多くの電磁界生体実験に用いられている変動磁場での環境に加え,多くの電気機器において用いられる回転磁界を発生する(1)生体実験評価装置を開発し今後の実験に供するとともに,線虫の用いた(2)2種類の遺伝子反応への影響評価を行った。 以下,本研究により得られた結果について列記する。 1. 生体実験用回転磁界環境発生装置の開発 回転磁界での影響を評価する目的で生体実験用の回転磁界発生装置を製作,完成した。装置は,直行する2磁極からなりそれぞれには2相の電源を印加する。実験空間は,60mm径,高さ30mmであり,インキュベータで恒温にされ,50mm径のシャーレを設置することができる。磁束密度は,商用周波数,50mT以下,変動率5%以下である。 2. ミスマッチ修復への交流磁界の影響評価 交番高磁界環境下(f=60Hz,最大B=1.0T)において,発がん・催奇形性に最も重要なミスマッチ修復に関して,in vitroミスマッチ修復系を作成し磁界を加えない系との比較を行ったが,統計的処理の結果,ミスマッチ修復系への影響は認められなかった。 3. 熱・磁界による複合刺激による熱ショック蛋白質の発現 線虫(Celegans,PC72ubIn5)による熱ショック蛋白質の発現系を用いて,熱と磁界の複合刺激による磁界の生体影響を定量的に評価することができた。線虫の飼育温度を変化させるとともに,磁界を印加し線虫の熱ショック蛋白質発現割合を検討した。その結果,120分間,B=0.5および0.3Tの磁界を印加することにより,磁界を印加しない場合に比べそれぞれ2.9度,2.2度の温度シフトが観察された。
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