研究課題/領域番号 |
09878149
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分子生物学
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石川 冬木 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (30184493)
|
研究分担者 |
松浦 彰 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (10272692)
|
研究期間 (年度) |
1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 人工染色体 / テロメア / テロメレース |
研究概要 |
研究の目的 人工染色体は、遺伝子治療や遺伝学的研究のよい基礎技術となることが期待されながら、今日に至るまで、ヒト人工染色体が成功したとの報告は非常に限られている。その理由は、ヒト染色体の機能構造が巨大であるゆえに、それらを試験管内でつなぎ合わせる技術が不足しているためである。染色体は、セントロメア、テロメアおよびDNA複製開始領域の三者の構造体を必須としている。我々は、これまでにヒトテロメレースの純化精製と遺伝子クローニングを行ってきた。テロメレースはテロメア機能をDNA末端にde novoで付加する酵素であり、本酵素を用いることで、染色体をin vitroで構築することが容易になると期待される。本研究では、テロメレースを応用した人工染色体の構築系の開発を目指す。 本年度の研究成果 酵母テロメレースを遺伝子操作により改変し、ヒト型テロメア配列を付加する酵母ストレインHTM(Human Telomere Maker)を作成し、変異酵母in vivoにおいてYACクローンにヒトテロメア機能を持たせることをこころみた。テロメレースは一般に付加するDNA配列を指定するRNA鋳型部分とDNA合成反応の触媒部位である蛋白質部分よりなる。酵母では、すでにRNA鋳型をコードする遺伝子TLClが同定されているので、in vitro DNA変異導入法により、鋳型配列をヒト型テロメア配列を指定するように変異させたhTLClを作成した。これをマルチコピープラスミッドにより酵母内で過剰発現させると、蛋白質部分はhTLClと結合して、ヒト型テロメア配列を合成するハイブリッド型テロメレースがin vivoにおいてできることが期待された。サザンハイブリダイゼーションとテロメア領域のクローニング、及びその塩基配列決定により、このようにして作成された酵母株HTM(Human Telomere Maker)は、その染色体末端にヒト型テロメア配列TTAGGGを持つことが確認された。このようにして染色体テロメアが全くヒト型である酵母株を作成することができたので、これに既に2.で作成したネオマイシン耐性遺伝子を含む882C10 YACクローンを導入したところ、その末端もヒト型テロメア配列を持つことが分かった。このことから、酵母細胞内でヒトセントロメア配列とテロメア配列を持ち、複製開始領域をも持つことが期待される改変YACクローンを作成することに成功した。
|