研究課題/領域番号 |
09878191
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
蟻川 謙太郎 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (20167232)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 昆虫 / 光受容 / 尾端光受容器 / 交尾 / 脳 / 左右性 |
研究概要 |
チョウ類の交尾器には4個の光受容細胞が存在する。このうちの1対は、雄では交尾行動に不可欠な感覚器である。ここでは、この光受容細胞の機能の左右非対称性に着目、脳の左右性の神経基盤を研究するための実験系の開発を行った。 行動実験は野外に設置した網室で行なった。網室内に、未交尾雌を固定、雄を放した。正常な雄の約70%は交尾に成功した。しかし左右両側の細胞を壊すと成功率は30%以下になる。一方、左の細胞だけを壊すと成功率が28%になったが、右だけを壊した場合には51%が交尾できた。 尾端光受容器機能の左右性の基盤を探るため、まず生殖器の構造を詳細に観察した。その結果、チョウの体内には多くの非対称性があることがわかった。例えば、ペニスにつながる輸精管は体内で大きく左に屈曲する。このために交尾時にペニスを突出すと、突出方向が若に片寄る。また、交尾の最終段階で雄が雌生殖口をふさぐ動作をするとき、左右のバルバは左右交互に運動する。 次に交尾器運動神経について、電気生理学的実験を行なった。交尾器筋肉系は、腹部末端神経節の運動神経によって制御されている。運動神経の特に重要なものは、腹部末端神経節の6対の側神経のうち、後方から2番めの対(N5)に含まれる。最後方のN6には尾端光受容器の軸索が含まれる。そこで、左右のN6を光の入力経路、左右のN5を交尾器運動の出力経路と位置づけ、光受容細胞と運動神経の反応を同時記録した。探索実験の結果、N6の光入力によって活動の抑制される運動神経がN5に含まれることがわかった。また、N6を両側性に刺激した場合と片側のみを刺激した場合とで、抑制効果に違いがある運動神経も見つかった。これは、尾端光受容器からの入力の腹部末端神経節における処理神経機構に、左右性があることを示している。左右非対称性を作り出す神経実体を特定することが、次の課題である。
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