研究課題/領域番号 |
09878195
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
狩野 方伸 理化学研究所, 細胞神経生理研究チーム, チームリーダー(研究職) (40185963)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | マウス / 小脳 / 脳由来神経栄養因子(BDNF) / 顆粒細胞 / 登上線維 / 平行線維 / パッチクランプ / AMPA受容体 |
研究概要 |
小脳顆粒細胞において脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が選択的に欠如しているStargazer mouseと野性型マウスを比較することにより、小脳顆粒細胞から分泌されるBDNFの、(1)登上線維-プルキンエ細胞シナプス、(2)平行線維-プルキンエ細胞シナプス、(3)苔状線維-顆粒細胞シナプス、に及ぼす作用を電気生理学的に調べた。 (1)登上線維応答の生後発達の解析:小脳スライスを作製し、プルキンエ細胞をからwhole-cell patch-clampを行なった。内顆粒層で登上線維を電気刺激して興奮生シナプス後電流(EPSC)を誘発した。Stargazer mouseでは、野性型マウスに比較して、各日齢において、登上線維EPSCの振幅が有意に減少していた。しかし、生後4週以降の成熟したStargazer mouseにおいて、プルキンエ細胞の登上線維による多重支配の残存はみられなかった。 (2)平行線維シナプス伝達の解析:(1)と同様に、小脳スライスプルキンエ細胞からwhole-cell patch-clamp記録をし、分子層で平行線維を刺激してEPSCを誘発した。登上線維EPSCと同様に、各日齢において、平行線維EPSCの振幅が有意に減少していた。 (3)苔状線維-顆粒細胞間の興奮性シナプス伝達の解析:小脳スライス顆粒細胞からwhole-cell patch-clamp記録を行い、顆粒細胞周囲の苔状線維を刺激してEPSCを誘発した。野性型マウスでは、顆粒細胞EPSCに早いkineticsを持つAMPA受容体成分と遅いkineticsを持つNMDA受容体成分がみられたが、Stargazer mouseではAMPA受容体成分のみが有意に減少しており、NMDA受容体成分のみが記録される細胞も数多くみられた。 プルキンエ細胞における登上線維EPSCおよび平行線維EPSCはAMPA受容体成分のみによることが明らかにされているので、以上の結果は、Stargazer mouseにおける小脳の異常は興奮性シナプスにおけるAMPA受容体の機能低下によると結論された。
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