研究概要 |
1. 我々は、まず、PACによるゲノム物理地図を直接、遺伝子発現・機能地図に転換することを目的に、 1) パルスフィールド電気泳導によるレアーカッター部位からCpGアイランドにある発現遺伝子を検索する方法と、 2) ショットガン法でPACの全シークエンスを完成させ、その遺伝子解析から転換する方法とを較べた。その結果、パルスフィールド電気泳導での低分解精度では1Kb以内のCpGアイランドの検索は困難であること、むしろ現在のシークエンス技術では、ショットガン法で170Kbの全シークエンスを完成できること(Genomjcs52:95-100、1998)からゲノム・シークエンスによる詳細な遺伝子解析が確実で、絶対的有利であると結論ずけた。 2. ダウン症の遺伝子解析に関しては、ダウン症主要領域(DCR)のhSIM2遺伝子を含まない家系性ダウン症患者の例が報告され,むしろ、染色体21番全体の遺伝子解析からダウン症病理解明する方向がうちだされた(Cytogenet.Cell Genet.79:21-52,1997)。 3. このためには、米国で定めた大規模シークエンスのためのIRB-BACライブラリー(Institutional Review Boardapproval BAC library)を導入する必要があり,かつ,BAC末端の直接シークエンスとPCRによる三次元スクーニングを併せた染色体歩行法を確立せねばならなかった。 4. 本法を用いてダウン症領域に隣接するAMLl-GART-筋萎縮側鎖硬化症(ALS)領域までの3.5メガベースを BAC/PACに置き換え、APPまでの約10メガベースのゲノム物理地図を完成した。そのシークエンスは21番コ ンソーシアムで行われ、遺伝子解析に賦されている。
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