研究課題/領域番号 |
09893001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 企画調査 |
研究分野 |
経済史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野塚 知二 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (40194609)
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研究分担者 |
松塚 俊三 福岡大学, 人文学部, 教授 (10165821)
深貝 保則 東京都立大学, 経済学部, 助教授 (00165242)
小笠原 浩一 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (30204051)
梅川 正美 愛知学院大学, 法学部, 教授 (30135280)
有江 大介 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40175980)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | イギリス像 / 社会科学 / 近代モデル / 原子論的自立型人間=社会観 / 有機体的非自立型人間=社会観 / 集団的自立型人間=社会観 |
研究概要 |
社会科学におけるイギリス像の再検討のための予備的な企画調査を行った本研究はおよそ以下の実績を上げた。1.原子論的自立型、有機体的非自立型、集団的自立型の3つの人間=社会観を仮設して、従来のさまざまなイギリス像を整序した結果、原子論的自立型は経済学・政治学系統で描かれてきた近代モデルのイギリス像に色濃く反映しているだけでなく、暗黙の社会規範としてイギリス人の社会認識を強く制約してきたことが明らかにされた。有機体的非自立型の人間=社会観は近代イギリスではいったん否定されたものの、家族観は19世紀前半にこれに従って再編され、女性と児童を「保護」する法思想の論拠ともなったこと、集団的自立型人間=社会観は19世紀後半の労使関係政策に登場して以降、現代イギリス社会政策を文明の一つの到達点と見なすイギリス像に強く影響してきたことなどを明らかにした。2.研究領域の確定のためにゲスト・スピーカーを招聘して助言を求めた結果、日本の社会科学における近代モデルのイギリス像の特質、植民地史、フランス社会史、比較法のそれぞれから見たイギリス像の問題性が明らかにされ、その結果、植民地論史と家族法(思想)史を研究領域として付け加えるべきことが確認された。3.上述1.および2.の作業から、(1)従来の像が社会的な規範だけでなく学問上の規範としても果たしてきた機能を明らかにすること、(2)近代モデルのイギリス像自体が有機体的非自立型および集団的自立型の人間=社会観によって補完されてきた論理構造を解明することを今後の共同研究の主要な課題として設定した。上の成果を踏まえて、1998年度にはイギリス像再検討の成果公開のための第1次稿の作成と相互チェックを進め、2000年度には『イギリス像の再検討〔仮題〕』を公刊する計画を確認した。
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