研究概要 |
カトマンズ大都市圏における過剰な都市化を緩和する方策を追究した.シナリオ分析によりカトマンズ大都市圏の将来のあるべき姿を提示することを目標に据え,ARCGIS(地理情報システム)を活用して空間的予測モデルの構築を行った.具体的には,セルオートマトンを適用した空間シミュレーションによって土地利用(2010年と2020年)を推定し,将来の土地利用パターンの評価を行った.シナリオ分析は,1)何もしなかった場合(Spontaneous scenario),2)環境保護を重視した場合(Environment-protecting scenario),3)資源の節約を重視した場合(Resources-saving scenario)に区分して,将来の土地利用を空間的に可視化した.1)においては,過去の都市発展が継続し,郊外化が主要道路に沿ってかなり進むことが明らかになった.スプロール化が顕在化し,飛び地的な土地の利用が無秩序に進む.2)の場合は,都市化が抑制され,道路に沿ったリボン的発展は見られなくなる.ただ,経済の弱体化は避けられない.地方からカトマンズへの人口移動をどのように抑えるかが課題になる.3)の場合は,従来の農村部に於いて新たな都市的集落の形成が進むものと考えられる.とくに土地資源が豊かな北東方向に都市化が進展すると予想される.いずれにしても,今後カトマンズ大都市圏においては,急速な都市化が予想され,行政は秩序ある都市発展のため,マスタープランを実行あるものにし,土地利用に関する管理を強化する必要に迫られている. 本年度は,これまでの研究成果をもとに,村山とThapaの共編で空間分析と空間モデルに関する図書を出版した.Murayama, Y.and Thapa, R.B.(Eds.)(2011), Spatial Analysis and Modeling in Geographical Transformation Process : GIS-based Applications.GeoJournal Library Series, Vo1.100, Springer Science + Business Media B.V., Dordrecht (ISBN : 978-94-007-0670-5, 1st Editlon, 300p).
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