研究概要 |
本科研費を用いて、中国・北京から着任した、外国人特別研究員のLiu氏および北京大学の研究者との共同研究を行った。 本年度は、ヘビーバリオンと核子およびヘビーバリオン間の相互作用を1ボソン交換描像(OBEP)を用いて求め、主として2体の束縛状態が存在するかどうかを詳細に検討した。そのためにヘビーバリオンを含む有効理論を、ヘビークォーク対称性、カイラル対称性および隠れたゲージ対称性を用いて構築し、ヘビークォーク極限でのそれらの結合定数をヘビーバリオンの崩壊や、カイラル現象論,クォーク模型を用いて算出した。その結果を用いてメソンとヘビーバリオンの相互作用バーテックスを決定し、これを用いて、ヘビーバリオンと核子、およびヘビーバリオン同志の相互作用を中間子交換描像に基づいて構築した。バリオン2体の束縛状態に関して、 (1)チャネル結合計算を用いて,Λ_cN系においては、パイオン交換のテンサー力によるΣ_c,Σ_^c*の混合の役割が重要で、想定されるカットオフの範囲内で、Λ_cNのスピン0,1の状態に束縛状態が存在する可能性が高いことを示した。 (2)同様にチャームを2個含むΛ_cΛ_c系においても、Σ_c,Σ_c^*を含む状態との結合により束縛状態が存在する可能性が高いことを示した。 これらの研究成果は国際的にも注目を集めており,各種国際会議における講演も行った。
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