研究課題/領域番号 |
09F09217
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 豊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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研究分担者 |
LIU Xianyun 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | エアロゾル / ブラックカーボン / 地上観測 / 東アジア / 気候影響 / 航空機観測 |
研究概要 |
ブラックカーボンの光吸収の測定法(COSMOS)の精度を評価するために実験室で13種類の有機物質を連続的に流れる空気に混入させ400℃に加熱した。分子量の小さい揮発性の有機成分は炭化せず光吸収が起きないためCOSMOSによるBCの測定には影響しないことが判明した。一方にフミン状物質の炭素の5-12%がBCに干渉を起こすと推定された。 さらにCOSMOSとレーザー誘起白熱法によるBC質量濃度の同時測定を東京で実施した。両者が10%以内で一致することを見出した。これまで混乱状態にあったBC測定の基準を確立することができたといえる。これらの結果を論文として国際誌Aerosol Sci. Tech.に公表した。 高度1840mの長野県八方観測所での4年にわたるCOSMOSの測定精度が高いことが保障された。このデータを解析して、以下の結論を得た。 BCの質量濃度は年で平均値すると0.25μg m-3である。BCの質量濃度は春と冬に高濃度になり、その原因は中国や韓国からの汚染大気の輸送である。2008年の4月はシベリアのバイオマス燃焼の影響によりBCの質量濃度は0.62μg m-3にも達した。 また3次元モデルで計算された春のBCの質量濃度の中央値は観測値と5%で一致した。BCの質量濃度は計算された輸送効率と正の相関があり、輸送中に起きる降水による除去が重要であることを示している。輸送効率は春・冬・秋に高く、夏に低い。このように、八方におけるBC質量濃度を支配する要因として、アジアやシベリアからの輸送や気象条件が重要であることが解明された。 この結果は論文としてほぼ完成し,今年中にJ. Geophys. Res.誌に投稿予定である。 研究員の来日により、中国の清華大学との研究交流がより活発になった。特に研究員は清華大学に滞在し、COSMOS測定器の設置作業を共同で行った。特に、中国語で技術者に測定器の操作方法を教授してもらえたことは、今後の日中共同研究に重要なステップとなった。採用期間終了後、研究員は、日本での研究成果が認められ、中国の常州大学・数理学院に常勤の職を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
この研究に関する論文が二編すでに出版され、三つ目の論文の投稿準備が進んでいる。この研究で開発されたブラックカーボンの測定器が台湾・中国・北極で展開されつつある。これらの観測的研究の基礎を作ったという点で大変重要な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
日本(辺戸、福江、八方)、台湾・中国・北極での観測を継続しながら、ブラックカーボンの装置のさらなる精度向上のための実験を行う。これらの地点で得られたデータを詳細に解析する。
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