研究課題
特別研究員奨励費
Fox01の脂肪組織における役割を解明するために、Cre-loxPシステムを用いて脂肪組織特異的Foxo1欠損マウス(adipoFox01KO)を作製し、代謝表現型解析を行った。普通食飼育下でadipoFox01KOマウスは、対照マウスと比べ摂餌量に対照と差を認めないものの、有意な体重の低下を呈した。これは体脂肪、特に内臓脂肪量の減少に起因するものであった。代謝ケージを用いた検討では、普通食飼育下adipoFox01KOマウスは対照に比し、酸素消費の亢進、呼吸商の低下を認めた。Locomotor activityはadipoFox01KOマウスで夜間にやや増加傾向が見られたが、有意差はなく、体温に関しても有意差は認められなかった。adipoFox01KOマウスの体重減少は酸素消費の亢進による体脂肪の減少が原因の一つと考えられた。肩甲間褐色脂肪組織の解析では、adipoFox01KOマウスにおいて、褐色脂肪組織重量ならびに脂肪細胞のサイズの減少及び脂肪滴貯留の減少が認められた。また熱産生に関する遺伝子であるミトコンドリア脱共役蛋白質1(UCP1)の発現は、対照マウスと比較し、adipoFox01KOマウスの褐色脂肪組織で増加しており、通常飼育下での体重の減少への関与が考えられた。また、4℃、3時間の寒冷暴露により対照マウスの体温は約1℃低下したが、adipoFox01KOマウスでは、30℃以下に低下した。adipoFox01KOマウスでは寒冷刺激下の肩甲間褐色脂肪組織において、熱産生に関する遺伝子であるUCP1、DIO2、β3ARなどの発現誘導が障害されていた。現在、adipoFox01KOマウスで明らかとなった寒冷刺激下での熱産生障害の分子メカニズムについて当研究所にて引き続き検討を行っている。
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PLoS ONE
巻: 6
Am J Physiol Endocrinol Metab.
巻: 298
Am J Physiol Endocrinol Metab 298