研究概要 |
ヒトの健康な歯周組織、ヒトの根尖病巣部の組織、歯原性腫瘍組織より得た培養細胞において、エナメル基質特異的な蛋白であるアメロジェニン、アメロブラスチンの発現を免疫染色で確認できなかった。歯髄由来間葉系幹細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、ES細胞、iPS細胞は、in vitroで歯間葉細胞への分化することを確認できなかった。 C/EBPBは,CCAATエンハンサー領域を認識配列とする転写因子で、乳腺(Seagroves et al.,1998)や免疫系(Poli,1998)において、各種細胞の分化増殖に関わることが報告されていた。近年、骨形成、軟骨形成、歯牙形成など硬組織形成にも深く関与るすることが報告されるようになった(McCarthy et al., 2000; Gutierrez et al.,2002; Narayanan et al., 2004; Harrison et al.,_2005; Savage et al., 2006; Wiper-Bergeron et al., 2007; Tominaga et al., 2008; Hirata et al.,2009)。C/EBPB遺伝子欠損マウス(CEBPB-/-,CEBPB+/-)は、共同研究先の大阪大学免疫学フォロンティア研究センター審良静男教授から供与頂いたものを使用した(Tanaka et al., 1995)。また、本実験は、京都大学動物実験委員会の承認のもと施行された(承認番号:Med Kyo 11518)。6匹の生後12週のCEBPB-/-のうち、4匹(66.7%)で切歯と臼歯の間のいわゆる歯隙に過剰歯が認められた(x2=6.00,df=1, p=0.014)。2匹は、過剰歯に複合型の歯牙種を伴っており、右側上顎切歯の歯根に沿って存在した。他の2匹は、左側上顎切歯の歯根に沿って、過剰歯が存在していた。また1例で、右側下顎に歯牙種を認めた。 10匹の生後12週のCEBPB+/-のうち、2匹(20%)で第3臼歯の欠損を認めた(x2=1.37.df=1, p;0.242)。
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