研究課題/領域番号 |
09F09744
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 独立行政法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
MATTHIAS WISSUWA (2010) 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境領域, 主任研究員
WISSUWA Matthias (2009) 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境領域, 主任研究員
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研究分担者 |
MICHAEL TIMOTHY Rose 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境領域, 外国人特別研究員
T ROSE Michael 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境領域, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 非生物的ストレス耐性 / ROS解析法 / 植物代謝産物 / シンキンエチルエステル / 蛍光プローブ / リンゴ塩酸 / GC-MS法 / ROS解析 / アスパラギン酸 / プリンアロキサン |
研究概要 |
本研究は、イネにおける窒素、亜鉛およびリン酸の非生物的ストレス耐性に関する機構を解明する事を目的とし、植物が感知するストレスに関する代謝系の分析法やROS解析法を確立する事で、本研究以外に関しても応用できると確信する。 研究の中核として、植物が根滲出液の中に放出する化合物を検出する方法の開発および最適化があった。その主たる方法は、化学的誘導体形成ならびにガスクロマトグラフィー・マススペクトル分析を基礎としており、何百という植物代謝産物を同時に観測するというものである。 実験の多くでは、代謝学の特長を利用しながら、階乗的に設計された様々なイネ品種の非生物的ストレス応答に関する実験の結果を分析した。多数の遺伝子型を取り込むことにより、耐性・不耐性品種の代謝ネットワークにおけるいくつかの主要な相違点、そして非生物的ストレス耐性が増強されたイネ品種を育種する今後の取り組みのための潜在部位を識別することができるようになった。 また、植物土壌化学の特定側面を解明するための新たな手法の開発にも数多く着手した。こうした手法の第一は、蛍光物質や特定の亜鉛配位子であるシンキンエチルエステルとの競合を通じた根滲出液試料中の亜鉛配位子を総合的に定量化させるものである。この検査法は、0.5マイクロモルという検出限界を有しており、鉄と結合している鉄吸収たんぱく質の非特定定量化において利用されている現在の方法と比べて1桁分感度が高い。また、大阪大学の研究者が考案した蛍光プローブ「BES-H_2O_2」をもとに、重要な情報伝達分子であり植物組織内の酸化ストレス指標である過酸化水素を定量化する検査法を開発した。 その後複数の実験を行い、特定の処理法(たとえばZn欠乏、過剰重炭酸塩、複合ストレスなど)がいくつかの遺伝子型における滲出液組成に与える効果について研究した。部分最小二乗回帰のようなさらに複雑な統計分析手法により、根からの漏出の結果いくつかの化合物(クエン酸など)が検出される可能性が最も高いことが判明した。そのような漏出は、ストレス不耐性の徴候を示すものと思われる。その他の化合物(リンゴ塩酸)が、耐性遺伝子型により活発に分泌されているものであろう。こうした結果から、我々は、どのような根滲出液が耐性と関係している可能性があり、従って分子手法や遺伝学的方法を用いてさらに詳細に研究すべきかについて明確な構想を得ることができた。
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